カレーパン先生の ブログ
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倉敷藤花戦の観戦。
2012.11/23 (Fri)
里見香奈倉敷藤花に矢内理絵子女流四段が挑戦する、倉敷藤花戦の三番勝負。第一局、里見藤花の先勝を受けて、第二局が倉敷市芸文館にて行われた。
結果は後手の里見が98手で勝ち、2-0のストレートで防衛。五連覇となった。
毎年藤花戦の観戦を楽しみにしていて、都合が付けば必ず行くことにしている。
会場に到着して、まずは運営に携わっておられる顔なじみの方々にご挨拶。
そして、勝利者予想クイズに投票。
順当なら里見有利とは思ったが、恐らく里見に圧倒的人気が集まるであろう、と予想する。
そこで私は敢えて矢内に投票。
もし矢内が勝った場合、当選の確率が高くなるという読み。
一種のギャンブル、矢内挑戦者には失礼ながら、「穴狙い」である…。
…残念でした。ハイ。
(1図)
後手の一手損角換わり。初心者のようなオープニングである。
こども教室の生徒がこれをやってきたら、反射的に頭から否定するような解説をし、小言のように「手損をしてはいけない」などと言ってきかせたものだ。
しかし、今やこの手損戦法は大流行。「手損=悪」の常識は大きく崩れ、手損の角交換をやってくるこどもたちにも、うかつに善悪を言えない。手得、手損についての概念を述べるにとどめざるを得ないのである。
最高棋戦の竜王戦でも、今期の挑戦者丸山九段が採用。
いやはや、何でもありの時代である。
(2図)
2図。急所の桂打が入り、やや後手持ちかと思うが、まだまだ難しそう。
ここで先手は大長考の末▲45角としたが、局後の感想戦で火の玉流有吉九段が▲76角を推奨。以下△47桂成▲68飛△57成桂▲53と△68成桂▲同金上なら先手にも楽しみが多いとの説。
里見からは、△57成桂のところでは△51金左として、▲53となら△52歩としてみたいという案が出された。
(2図からの指し手)▲45角△51金左!▲53と△33竜!!(3図)
(3図)
し、渋い。大山流である。
ただ、見ているときは、「竜を引き上げるようでは後手変調か?」とも思った。
しかし、どうやらこれがしっかりした受けの構想、決め手になったようだ。
3図から▲54銀△44銀▲34歩△23竜で先手が先に60秒の秒読みに。
ぎりぎりまで考えて▲95歩と指したが、暴発だったか。
△44歩くらいかなぁ、と思っていたところ△44銀には感心した。
こう指されてみると、先手が忙しい。
また、3図では竜の素抜きを狙う▲44銀もあり、有吉先生もその方が良かった旨仰っていた。
しかし、それには平凡に△47歩とする手があって、指しきれなかったものと推測する。
(4図)
4図。ここではすでに後手も秒読みである。
△43同竜に、また感心した。
後手の55桂の価値が非常に高いので、指されてみると意味はわかるのだが、これを60秒で決断する力に感嘆する。
ここからはイナズマ流の寄せが出て、幾ばくもなく後手の勝ちとなった。